澱と葉 料理席
「あなたも私も、食材も、土地も水も風もすべてが同じである。」
私は料理人です。
作るという行為は、言葉のように伝える手段であり、
食べるという行為は、読書のように受け取る手段です。
ですが、料理には残虐性が伴います。
人が生きるうえで、何かの命を確実に奪う行為も併せ持ちます。
だからこそ、そこからきちんと受け取ること。そして、次につなげること。
そうして、全体ができ、世界が循環していくと考えます。
私たちがずっと思い続け、実感を持って伝えていきたいことです。
この料理席は、私たちの思いに対して
五感を活用しながら体験して頂くためのお席です。
自ら足を運び、その季節にしかない野菜や山野草を採取したもの。
地元の生産者さんからの交流を経たもの。
それらを合わせ、「私のいる場所」を料理に落とし込み提供致します。
料理のはじめに日本茶をお淹れし、ゆったりとした集中を共有しながら、
そこに流れる空気や時間、お料理やお酒、お茶を通して、
「料理人とお客様」の関係性ではなく、「私とあなた」という関係で思いを伝えるための一つの場を完成させていく一体型の表現を目指しています。
そのため、1日1組、少人数制のお席を設定しております。
そこで「あなた」が何かを感じたり、考えたりすることで
私との時間を共有して頂ければ幸いです。
私の中で大事にしたいことは
日に日に変わる季節の巡り、その恩恵をうけた木々や植物
私がいる自然の中の刹那的な光景や食材、その時に生まれた感情などです。
どこにいっても同じ光景、同じ食材は見られません。
そして、日々変化していく感情や思い、心はその時にしかありません。
「私のいる場所」の表現を料理席にお越し下さる皆様と共に分かち合い、
作りあげることができたらと思っております。
私は思いを言葉でお伝えするのが苦手なので、
料理席という形で、料理を行うまでの過程で、
時間と手間をかけ、試行錯誤を積み重ね、
「私の言葉」をお伝えできればと思います。
ぜひ、あなた様と共に
より良い時間を作り上げることができたら、と願っております。